[Today's Disc]

Everglow

Everglow

デビュー作『Destination : Beautiful』が好きだったのでこの新作も楽しみにしていたのですが、その期待をはるかに上回る素晴らしいアルバム。前作を聴いたときにも、Mae(メイと読みます)の音楽には物語や映像を喚起させる力があるなと感じていました。まるで青春小説の読後感のような清々しさも併せて。この新作ではそのことを証明するかのようにストーリー仕立てになっており、少年を主人公にその成長物語を音楽と絵(スリーブが絵本のようになっている)で楽しむことができる。全体のコンセプトやパッケージ、もちろん音作りの面でも時間をかけて丁寧につくられているなということが伝わってきて、彼ら特有の大空へと飛翔していくような清涼感あふれるサウンドには厚みが、やさしく包み込むボーカルもより深みが増しています。たとえが古いけど(なんせ、いい歳なので)、'70年代中頃のStix、Kansasなどアメリカン・プログレと呼ばれたバンドたちが持っていた明快だけど人の心に訴えかけるモノ、それと同じような要素がMaeにはあるような気がします。エモ系のジャンルに括られがちだけど、もっと多くの人たちに聴いて欲しいバンドです。