慟哭/貫井徳郎

前に買っておいた本だが、この機会に読んでみた。ラストの仕掛けは確かに面白いけど、期待したほどの驚きは感じなかった。自分があまり国内ミステリを読まないというのもあるんだろうが、警察が絡む(犯罪モノはほとんどそうだが)、この手の小説特有の言い回しや会話などを含め、全体を覆う独特の雰囲気が、今ひとつしっくりこないってのがあるのかもしれない。
幼い娘を殺された父親の心理というのがキーポイントになっているのだが、自分に置き換えて考えてみると、そのあたりの描写や犯罪へと向かう動機付けがフィクションとは言えやや微妙かなという気が。自分としては感情移入があまりできなかった。
主人公の心理的変化とともに、物語のテンションが後半部でやや失速した感もある。とは言え、それなりに面白い小説だとは思います。映像化はちょっと無理だろうけど(読んだ人はわかってるでしょう)。