深夜タクシー

『The Rain Band』

数日前のこと。普段、ウチから最寄りの駅まではバスを使っているのだが、その日は帰りが12時ぐらいになってしまったので駅からタクシーを拾った。
深夜なら、家までは車で10分もかからない。しかし、この時の運転手がやたら話しかけてくるタイプで、ちょっと困った。乗った途端に大声でベラベラと喋る。
仕方ないので適当に相槌をいれていると、突然「ひゃー、お客さん今の見ました!」って素っ頓狂な声が。(そんなのいちいち見てねーよ)と思いつつも「何かあったの?」と答えると、「今ね、道の脇でこっちに向かって手を上げてた人がいたんだけど、顔つきが普通じゃなくて、えらい怖かった」「お客さん乗せてたから停まらなくてよかったんで助かりましたよ。いやー、怖い、怖い」と何度も繰り返す。まるで悪魔でも見たような言い方だ(笑)。


なんだか変なタクシーに乗ってしまったなぁ、と思いつつ「いろんな人がいるから、運転手さんも大変だね」なんて言ったら、矢継ぎ早に今度は「この間もね、夜中にそこの交差点で変な連中がいたんですよ。中学生ぐらいのガラの悪い3人組なんだけどチェーンをブンブン振り回しながらタクシーを拾おうとしてるんです。他の車は素通りしてて、もちろん私もそのまま行きたかったんですけど、運悪く信号が赤になってしまって」「嫌だったけど、その3人組を乗せたんです。そしたら『どちらまで行きますか?』って聞いただけで、『あー、もういっぺん同じこと言ってみろや。そしたらその頭蹴り飛ばしてやっからな!』と怒鳴られて。もう怖くて、怖くて…」


すでに車は家の目の前まで来てたので、運転手の話を遮って降りてしまったからその先の話はわからずじまい(大して知りたくもないが)。まぁ、無事だったことは確かだし、そもそもこの運転手の話がどこまで本当なのかもわからない。
東京とはいえ、自分の住んでる周りも年々物騒になってる。しかし、運転手が(乗車拒否をしなければ)客を選べないのと一緒で、こちらだって乗るタクシーを選べない。低料金やサービス向上を謳っている会社もあるが、そんなのは乗ってみないことにはわからんしね。