Utada [amazon] JP US

『Exodus / Utada
発売日に買って、すでに10回以上聴いてます。最初はどうしてもサウンドのほうに関心が行ってしまったが、聴き込むうちに馴染んできました。音質も良いし。綿密なマーケティングを施して、充分な時間とお金をかけてつくられたであろう作品。J-POP的な日本流のR&Bを期待してたリスナーにはあまりピンと来ないかも知れないし、これまでの日本語による曲のように共感や安らぎを覚えるとかという類いのモノともちょっと違うだろう。海外の最先端のブラックミュージックにはてんで疎い自分だけど、それらの要素が贅沢に詰め込まれているんだろうなというのが容易に想像出来る。日本人からするとちょっと過剰で気恥ずかしいようなオリエンタリズムも垣間見れるが、でもアメリカで売ろうと考えると、やはりこうゆうことも必要なんだろうなと思えてしまうのがちょっと悲しかったりもするけど。成功してこそのビジネスだからね。
この作品の評価とは直接関係ないんだけど、アメリカ人が好む日本人女性像というのは、僕ら日本人の感覚からするとちょっと違うんじゃない?と感じることがあります(これは決して男性だけではないように思える)。違和感というほど大袈裟ではないが、ふとそんなことを思い浮かべてしまった。
面白かったのは歌詞の対訳者と宇多田ヒカルとの対談。かなりのボリュームもあって、彼女の言葉に対するスタンスや、歌詞に込められたメッセージがよくわかります。これを読んでアルバムを聴くと、また違った印象になってくるのでオススメです。
ただしボックス仕様&ブックレット付きとはいえ、洋楽扱いのはずなのに国内盤が3,000円というのはちょっとね。この程度の特典なら2,500円平均の洋楽国内盤でも特に珍しくもないし(むしろ最近では期間限定で輸入盤並の価格設定も多い)。せめてボートラか付録DVDぐらいの特典は欲しい。だって10/5発売予定の輸入盤はamazon.cp.jpだと1,580円で予約受け付けてるからね。輸入盤が出回る前の1ヵ月間に売り上げが確実に見込める国内で出来るだけ回収してしまおうって思われても仕方ない。リスク回避というか、一種の保険ということなんだろうけど。そうゆうことを承知しつつも、自分なんて確実にリリースの早い国内盤を買ってしまうクチなんだが。アメリカでもそれなりの成功を収めるとは思うけど、実際問題その売り上げ枚数が(おそらくは)ミリオンが確実視される日本国内でのほうを上回るとは考え難いよね。理想論を言わせてもらえば、声高に全米進出を宣言したのなら、国内盤は出さずに輸入盤のみで勝負。「聴きたかったら洋盤買いな!」ぐらいの気概を見せて欲しかった。現実にはあり得ないってわかっていても。
まぁ、あまり作品の内容とは関係ないことを書いてしまったけど、それは期待の裏返しであって、アルバムそのものは気に入ってますよ。そうじゃなければ何度も繰り返して聴いたりしないし。