Love Like Pop vol.8 武道館

「かばん / aiko」

3週間も前に観たライヴについて今頃書くのもどうかと思いますが、一応記録ということで。まぁ、日記のネタもないことだし(笑)。その前に内容を半ば忘れかけてるというのもあるんだけど…。


5月28日水曜日、aikoLove Like Pop vol.8ツアー最終日『ちょっと素敵な追加公演。キラン☆』。場所は日本武道館
「アリーナ、チケットあるよ〜。余ってる人は買うよ〜」を連呼するダフ屋たち(相変わらずココは多い)をかい潜り、坂道を上って会場前に着くと、まわりは人でごった返している。
定番のaikoファッションに身を包んだ女の子たち(Laundry*1Tシャツ着用率高し)、意外に多い男だけのグループ、サラリーマン&OL風、それからちょっとヲタっぽい人など多種多様。当たり前なんだけど、会場が大きくなると集まってくる観客の傾向もライヴハウスのように統一感がなくなり、かなりバラけてくる。女の子の黒髪率が意外に高かったのも印象的だった。
武道館正面入口前には横長の白いカンバンが掲げられ、でっかい毛筆文字で「ほろ苦い切なさと心地よい清涼感で武道館をいっぱいにしてみました。」と書いてあったりする*2


外のグッズ売り場でツアーTとパンフ(2800円はちょっと高い)を買ってから会場内へ*3。この日のために(娘の名前で)ファンクラブに入会して、優先枠で手に入れたチケのわりには1階スタンド5列目というなんとも微妙な席。オークションで入手した前回LLP7ではステージ真正面最前ブロックだったので、やっぱりそっちのほうが手っ取り早かったのかな。でもまぁ、会場全体の雰囲気を楽しみながら歌を聴くってのも悪くないかと、無理やり自分を納得させる(笑)。後ろを振り向くと、2階上通路の最上部が立見席になってるらしく、そこにも人がみっちりいたけど、あそこから立って観るのはかなり辛いんじゃないの。武道館でも一番勾配がキツイとこだからね。
それにしても最近はどんどんホールの規模が大きくなったせいか、昔はやたら広く感じた武道館も「こんなもんか」って程度にしか思えない。それでも1万人入るんだから、慣れってのは怖い。


買ったばかりのTシャツ(娘が黒、私が白)に着替えて席で待ってると、開演時刻の7時を20分ほど過ぎてちょっと空気がダレ始めた頃に、ようやくライヴが始まった。
聴き覚えのある静かなイントロが流れ出し、アップテンポに変わる次の瞬間にステージを覆っていた真っ白いスクリーンがすとんと落とされた。と同時に「ドカーン!」という大きな音でパイロが炸裂(結構びっくりした)。湧き上がる歓声。オープニングの曲は「彼の落書き」だった。
双眼鏡で確認すると、この日のaikoジーンズと白Tの上にチェックのノースリーブのシャツ姿。バンドのほうは、5人中、3人ぐらい(?)メンバーが変わっていたみたい。
この後「桜の時」「愛の病」「帽子と水着と水平線」と一気に畳み掛けて、あっという間に会場中総立ち状態に。武道館にいる1万人近い観客の視線がステージ上の小柄なaikoに一斉に注がれている。ここらへんの求心力の強さというか、ファンを心を捉えるのはほんとうまい。
いつものように観客と絡みながら長めのMCを挟んで、「夢のダンス」「アンドロメダ」としっとりと歌い上げる曲を披露。ここでは武道館の天井に照明が当てられ星空が浮かび上がるという演出がされて、客席から「オォッ!」「きれい」という声が上がる。


中盤以降の見所としては「えりあし」でステージ後方上部に張られたスクリーンにPVを加工した映像(風景が四季の色調に移り変わる)が映し出され、ストリングスが挿入する部分でそのスクリーンが透けて後ろにいたオーケストラが現れるシーン(これは毎回パターンを変えてやってる演出だけど)。
〝女の子はいつも切ないメドレー〟というタイトルで「赤い靴〜傷跡〜more&more〜マント〜終わらない日々〜ひまわりになったら〜September」をアコースティックセットで、ジャズ風ボサノバ風などにアレンジを変えて、一小節ずつ歌ったり(「ひまわりになったら」では歌にあわせて横に手を振る昔ながらの観客の仕草を見て、涙ぐんでいた…)。
そして、クライマックスの「イジワルな天使よ、世界を笑え!」での、ピース&グッドポーズで客席と一体になっての長い長い大合唱で本編が終了。一度舞台を去る。
アンコールはこの日リリースになったばかりの「かばん」、アルバム『暁のラブレター』のラストでもある「天の川」の2曲。aikoらしいバラード曲で、切なくてやわらかな余韻が会場に残る。演奏が終わった後、メンバーが去ってからも最後までステージ上に残って何度も「ありがとう」と客席に頭を下げていたaiko。2時間20分に及ぶライヴ、そして今回のツアーがすべて終わった瞬間だった。


aikoのライヴは彼女のアルバムやシングル同様ハズレがないし、今回も楽しかった。ただあえて言うとすれば、前回観た武道館と較べてしまうとパフォーマンスや演出もやや劣っているかな、自分の中ではちょっと盛り上がりに欠けた面もあったかな、というのが正直な感想です。
前回ステージのラストでは初の武道館ということもあったと思うけど、達成感で感極まって号泣してしまったaikoだが、その仕草がごく自然なぐらいライヴ自体も感動的だった(個人的にはここ数年観たライヴでも最高のひとつ)。
その点、今回の場合はどちらかというと長いツアーをようやくやり終えたことへの安堵感のほうが強かったように感じた。途中ダウンして公演を延期したってことも影響してるのかもしれないが、彼女の歌っている様子からも「疲れているんだけど、それを押し隠して懸命にがんばってる」っていう雰囲気が感じられた気もするんだが(考えすぎかな?)。


曲の間のトークにもちょっとチグハグな部分が見られたが、これは観客のほうにも原因があったように思う。ファンからの呼びかけに対してaiko自身が「ハイよ」「ん、何?」みたいに気軽に答えて、時には直接会話するというのは、ファンとの距離を縮めてよりステージを盛り上げようとする彼女独特のやりかたなのだろうが、今回はこの声かけがあまりにも多くて、MCを途中で遮って流れを中断したり、じっくり聴きたい曲の前後では雰囲気を壊してしまっていた。
「アイコ〜」「かわいい〜」なんてのはまだわかるけど「がんばれー」「泣かないでー」「かわいそう〜」ってのはどうなんだろう。しかも間の悪いタイミングで連発されるとシラけるだけだ。
ファンとの壁の低さがaikoの魅力のひとつでもあるだろうし、直接話しかけたいというファン心理もわからないではない。それがうまくハマれば盛り上がるだろうし。しかし大勢がいるライヴ会場なんだからもう少し場の空気を読めないもんなのかな。ま、わかっていたら最初から言わないんだろうけど。そのへんの匙加減ってのは案外難しいよね。たんに大声で叫び続けるのは論外だが(さすがにまわりもaiko自身もほどんど無視してた)。


話がちょっと脱線してしまったけど、いろんなことを言ったのはそれだけaikoの曲が好きだし、ライヴでもできるだけベストの状態で彼女の歌を聴きたいということなんです。だからファンの人、怒んないでね。次のツアーももちろん行きますよ。うん。

*1:この日新宿で娘と待ち合わせてLaundryの店に寄ったら、やっぱりaikoの曲が流れてた

*2:前回のLLP7では「今日は柔道大会じゃないよ、aikoだよ」でした。

*3:グッズ売り場が外にあるのでチケットがなくても買えるから、大量買いしてネットで転売してる連中とか絶対いるんだろうな。