マイケル・ヘッジス [amazon] US

『Watching My Life Go By / Michael Hedges』
'97年に交通事故で43歳の若さで亡くなった不世出の天才ギタリスト。常識を覆すような革新的で驚異のテクニックはその余りの難解さからフォロワーを生み出すことすら拒んで、文字通り伝説に。しかし彼の素晴らしさは、常人離れした技術だけでなく、その先にある深い音楽性にあった。'87年ウィンダム・ヒルからリリースされた3枚目のソロは、全編が弾き語りで構成されていて、穏やかだけど生真面目さが滲み出たヴォーカルと、押さえ気味のギターの組み合わせが独自の世界を創ってる。(ギタープレイを含め)録音の良さにはもともと定評があるが、その場の空気の震えまでもがスピーカーから伝わってくるような立体感が。日常の断片を切り取ったさりげなく、詩的な歌詞は、どこかレイモンド・カーヴァーの小説のようでもあり、こういった世界観は彼自身の音楽を特徴付けている要素のひとつなのだろうと思う。誠実さと切実さが不思議なバランスで保たれている。ボブ・ディランの「All Along The Watchingtower」のカヴァーも収録。