アナイアレイター [amazon] JP

『All For You / Annihilator』
デビューから15年。通算10作目のスタジオ・アルバム。同じスラッシュ・メタルにカテゴライズされていた連中が次々と失速、あるいはシーンから姿を消す中で、見事に生き抜いたカナダの誇るバンド。事実上は、ギタリストのジェフ・ウォーターズのプロジェクトなのだが。実際、レーベルと契約してるのもジェフ個人なわけで、今回のようにアルバムを製作する時だけメンバーを集めてくるらしい。まるで、傭兵や腕に覚えのあるガンマンを束ねるアウトローのようでカッコイイ。そうしてメンバーの入れ替わりも激しいために、新しい血を取り入れて常に進化してきたことがこのバンドを存続させた大きな理由なんだろう。もちろん、ジェフ・ウォーターズの存在なくして、アナイアレイターは語れない。そして多くのファンがそうであるように、自分がこのバンドのアルバムを聴く目的はジェフのギターにある。タイム感抜群の変幻自在のリフと起伏の激しいスラッシーなサウンドのコンビネーションは、もはや匠の域に達している。この手のギターが好きな人にはたまらんはず。ほんとうっとりしてしまう(笑)。前2作のヴォーカルを務めた元オーヴァーキルのジョー・カミューがドスが利いているのに対して、新しいヴォーカル(カナダの新人)は割りとオーソドックスなタイプ。ブルータルな感じは影を潜めた反面、バラエティに富んだヘヴィ・メタルがこの新作では聴ける。曲のクオリティも悪くないし、もちろんジェフのギターもキレまくっている!