議員からの質疑3

質疑者:横光克彦議員(社民党


Q:依田会長のお話では、還流防止措置によって欧米からの輸入盤が規制されることはないし、ライセンサーに対して禁止を働きかける考えもないと仰っているが、これは直輸入に関してのみ対象にされているように見える。レコード会社を経由しない並行輸入についてはいかがなのか。


●「お答えします。先ほど申し上げましたようにアメリカのレコード会社がCDを製作する時に、「これは日本向け、これはイギリス向け」なんてことはやらないんですね。あくまでもアメリカ国内に向けて生産、販売をしますから。ですからその段階で「直輸入だからOK、並行輸入だから止める」なんてことは事実上出来ないんです。アメリカにはおびただしい数のレコード卸業者がいます。一般的にはワンストップと言いますけど。多くのレコード会社がその卸屋さんに商品を卸した段階で、その行き先はわからなくなるわけですね。ですから、このロットは日本発売禁止ということは論理的にあっても、実質的に出来ないんです。ということでよろしゅうございましょうか」


Q:ファイブメジャーで輸入が止まることはないと確認をとったことについては、直輸入だけでなく並行輸入も全て含まれる話なのか。


●「仰るとおりでございます。その通り理解しております」


Q:その言葉を信じたい。だが、仮に並行輸入が止まることが起こった場合に、レコード協会としてはどのような対処をするつもりか。恐縮ですが、あり得ない話ではないと思うので。


●「現状では規範決定は何もしておりませんから申し上げられませんが、この法律が国会を通過しますと、当然制度設計がなされます。その段階で関係官庁、あるいはまた立法府の先生方のご指導も仰ぎながら、どのような運用をするのが一番妥当なのかということについては、これから決めることでございますが。レコード協会としては、付帯決議に齟齬をきたさないようにきちんとした運用を図っていくということについては、協会ではすでに確認をしております。どのようにするかについては、これから決めることでございます」


Q:今回の法案について高橋健太郎参考人から、大変厳しい意見が開陳されました。消費者のレコード会社への不信感、アーティストとリスナーが敵対するような状況、本来創造に向けられる力が浪費することによる業界の衰退への懸念、法案成立後の不買運動の可能性など。さらには著作権者、アーティストの権利が第一であるということ。依田会長によれば「5大メジャーでは確認をとってあるので心配をするな」とのことだが、輸入業者は他にもたくさんある。それらのレーベルが輸入権を行使した場合どうなるのか。


●「論理的にはあり得るんですけども。まずアメリカのレコード協会には700社以上のレコード製作会社が加入していると聞いておりますが。しかし、そのほとんどのレコード製作会社は海外に進出したいわけであります。当然であります。ですから並行輸出を止めるということは考えられませんし、また多くの独立系レコード会社は、わたくしども日本のレコード会社がライセンシーとして商品を扱ってもおりますから。ですからアメリカレコード協会と日本レコード協会が機関としてそういう確認をするということは、5大メジャーのみならず、多くのレコード製作者、レコード会社がこの意見に賛成であるということで、私は差し支えないと思います。
それからアーティストの権利についてですが、レコード会社というのはCDをプレスしているのは最終段階でございまして、アーティストを育て、プロモーションし、彼らと一緒に製作をしているのがレコード会社でございますから。レコード会社の浮沈はアーティストの浮沈につながるのでございます。日本のアーティストに対する音楽業界の利益分配については、わたくしは世界でも稀に見る公平かつ公明正大な分配システムを作っておりまして。これはもうほんとに日本の音楽産業、レコード産業が世界各国のレコードメーカーから非常に高い評価をされる所以であります。したがってわたくしは、アーティスト、実演家にとっても、あるいは著作権者にとっても、我々レコード会社にとってもこの法律はみんなが喜ぶことであります。ですから、あとは消費者の理解さえ得れれば非常に素晴らしい法律であると思っております」


Q:その消費者が大きな反発の声を上げているわけですけど。今、その他のレコード会社も5大メジャーと同じ考えだと仰ったが、それはついて確認はとってないのでは。


●「確認はとってありません。いちいちやったら大変なことになります。そこで一社でも反対するところがあれば、これをどうするかという本題もあります。したがって私はRIAA(全米レコード協会)の見解に全幅の信頼を置いておるわけであります。
それから消費者のみなさんについては、実は昨年12月8日に消費者団体のみなさまとも説明会を行いました。そしてご理解いただいたと思っておりますが、この数ヶ月前から突然、「洋楽が止まるんだ」というパブリシティやコメントが散見されるようになりました。そこで消費者のみなさんは「止まるということは大変だ」ということになってきました。私どもは「止まりません」と申し上げてるんですが(パブリシティなどで)「止まります」ということを言われますと、やはり消費者は「どっちなんだ」と。やっぱり評論家のみなさんやマスコミの言うことが正しいのかと思うかもしれません。わたくしはそのへんからですね、今回ひじょーに消費者のみなさんに混乱を与えていることにつきましては、わたくしどもも少しやり方をきちんとすればよかったかなぁと反省はしておりますが。消費者のみなさんにはご理解を得られると確信を持っております!」


Q:そうなればベストだが、逆に消費者からの批判の声は激しくなっている。先ほど100%の法的担保が欲しいという意見も出ており、これは消費者の声でもあると思います。そういうことを踏まえ、依田さんには努力をしていただきたい。