ベストセラー

『On The Radio / 当山ひとみ』

近くの書店では『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の予約状況を(手書きで)カウントダウン風に表示してあるんだけど、この間見たら「687」になってた。分売不可で、上下巻セットのみの販売なので4200円×687=288万5400円。発売日は9/1だからこの数字はまだ伸びるんでしょうが(取次会社への初回申込み締切り日は6月28日)、それにしても一つの店舗での一般書籍の売り上げ予定としては破格の数字。店側が大々的にコーナーやポップを作り、オリジナルの特典などで必死に盛り上げようとしてるのもよーく理解できる。
もっとも、書店がこのシリーズをどうしても予約販売で売りたいという裏には、出版元の静山社が初版分を買い取り制にしたことも影響している。通常の書籍は再販制度によって一定期間なら無条件に返品が出来るのだが、それが無理となると書店側としても売れ残りのリスクを回避し、なおかつこの超ドル箱商品を効率よく仕入れするためには予約販売という方法が唯一かつ最適だからだ。
でもまぁ、こうしたゴリ押しが利くのも、やはりその怪物的な売り上げがあるからでしょうね*1。前作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の初版部数は過去最高の230万部。上下巻セットで3800円だったから、合計すると87,4億円になる。書籍の年間市場規模が約1兆円なので、このセット本だけで9%近くを占めていることになり、それを社員10数人規模の出版社が行っているというのだから驚きだ。勝てば官軍。そりゃ、ちょっとぐらい強気に出たくもなるわな。ちなみに前回初版分の出版社の粗利益は約30億(返品率0%の場合)、作者印税は約9億円だそうです。


9/1には、その他の書籍を駆逐するようにして(物によっては返品されてしまうんだろう…)書店の一番目立つ位置に、またしても巨大戦艦のようにドーンとそびえ立つんだろな。未だに読んだことないけど*2

*1:完全買い取り制だった前作に較べ、今回は初回申込み部数の5%まで返品を許容する条件になったらしい。返品期限は発売日から9カ月間。

*2:娘はamazonで買った安い原書のペーパーバック・ボックスセット持ってる