Secret Heart

Retriever / Ron Sexsmith

木曜に渋谷クアトロで観たロン・セクスミスのライブは本当に素晴らしかったです。決して派手さはないけど、泣きたくなるほど美しいメロディと、愁いを帯びた誠実でやさしい歌声。2日経った今でもその余韻がはっきりと残っており、何度も彼のアルバムを聴き返しています。


ライブのほうは、まずギターのティムが前座として4曲を披露。グラム・パーソンズが在籍したフライング・ブリトウ・ブラザーズの名バラード「Hot Burrito No.1」を歌うなど、ゴツイ外見からは想像できない甘い歌声を聴かせてくれました。
そのティムから名前を呼ばれてロンと他のメンバー(ベースのジェイソン&ドラムのドン)がステージへ登場。間近で見るロンは結構大柄で、顔のポッチャリ加減に比べると手足も細くて、身体のほうは思ってたよりも締まってましたね。意外でした。


「Former Glory」から始まったステージは、最新作『Retriever』を中心に、過去5枚のアルバムからも満遍なく選曲されてました(前日の大阪とは曲順を含め、かなり違ってるようですが)。
「Secret Heart」「Gold In Them Hills」「Strawberry Blonde」などの人気の高い曲にはさすがに歓声も大きく、他にもブッシュ大統領に捧げると言って笑いを誘った「The Idiot Boy」や、キンクスの「Two Sisters」、ビートルズ「Blackbird」などのカヴァー曲もやってくれました。個人的には3曲目に歌った「Whatever It Takes」でのゆったりとしたグルーヴ感が、自然に身体を横に揺すってしまうほど心地良くて最高でした。
この他にも「In A Flash」ではドンの奏でるチェロがしっとりと曲を彩ったり、さらにアンコールの「These Days」での巧みでちょっと微笑ましいコーラスなど息の合ったバンドのサポートが、ロンの歌をより素敵なものにしてました。右足に重心を置いて左足のつま先をちょこんと立てる独特のスタイルで弾く彼自身の優雅なギタープレイ(すべてフィンガーピッキング)も印象的で、「Secret Heart」でのテレキャスの繊細で柔らかい音色には男の私でもウットリとしてしまいました(笑)。
2度に渡るアンコールの最後の曲は観客のリクエストに応えて「April After All」を。30曲近くを歌った2時間に及ぶライブでした。


ロンのライブはこの日が初めてでしたが、生で聴く彼の歌にはホントに感動。会場に集まったファンの人たちの親密で暖かい雰囲気も良かった。今回の来日で初めてロンのことを知ったウチの娘もステージ前の柵に挟まりながら食い入るように観てまして(笑)、かなり楽しんだようです。ロンさん、来年もまた来てね。