ロン・セクスミス [amazon] US JP(CCCD)

『Retriever / Ron Sexsmith
今年の4月にリリースされた最新作6thで、今回のライブもこのアルバムを中心に行われた(なぜか7曲目の「Wishing Wells」だけやらなかったが)。録音はロンドン、ゲストにエド・ハーコートやTravisのニールなどを迎えて前作同様マーティン・テレフェのプロデュースだが、5thでの打ち込みを多用した音作り、さらには4th(こちらのプロデュースはスティーヴ・アール)で顕著だったロック色の強いアレンジに比べるとかなりシンプルで、雰囲気的には初期の作品に近いかなと思う。最初に聴いた時はさほど強い印象は残らなかったが、回数を重ねるごとにじんわりと沁み込んでくる。何度聴いても新鮮さを失わない。そんなアルバムです。一つひとつの楽器の音が明確でリズムの強さも感じるのだが、それらはごく自然にロンの歌声と溶け合っている。ピアノが美しい4、アコギの響きが切ない6など心にやさしく訴えかけるバラードはここでも素晴らしい。ライブでもそうだったが自分としては流麗なストリングスとグルーヴィなサウンド、それと切なくも心地良いロンのヴォーカルが見事にマッチした8が大好き。