クロスウインド

『CROSSWIND』
RCサクセションにも在籍していたギタリスト、小川銀次が率いたクロスオーヴァー/フュージョン・バンドの78年にリリースされたデビュー作。アナログの帯には「下北沢音楽賞受賞」の文字が躍っていた。ハードロック寄りのエモーショナルなギターと、聴き手の想像力を掻き立てるファンタジックなサウンドが融合した斬新な音作りで、同時代のプリズムやスペースサーカスなどと共に強く印象に残っている。初期のアル・ディメオラのようなアグレッシブな速弾きのA-1「蟻の大移動」、静から動へと劇的に展開するA-3「流氷」(この曲はプリズムの「Love Me」にも匹敵する官能的なギターが堪能できる名曲)など聴き所も多く、当時のハード系フュージョン・ファン、ギター小僧には忘れられない1枚。A-2「猫と小鳥の不思議な旅」、B-2「だんだ畑で鬼ごっこ」といった絵本のような個性的なタイトルも面白かった。あの頃1メートルぐらいの至近距離で観た強烈なライブは今も鮮烈な記憶だ。この後、ジャズ、プログレなどの要素を取り入れたアルバム(計4枚)を残してバンドは消滅。熱狂的なファンも多いリーダーの小川銀次は、2001年にはCD12枚に及ぶソロアルバム『Private Diary』を発表するなど現在も活躍中。