くるり [amazon] JP

「黒い扉 / くるり
ついにリリースされた新作『Antenna』。これまでのどのアルバムとも違う濃密さと完成度を持つ内容で、聴いていても(決してネガティヴな意味ではないが)息苦しいぐらいの緊張感のなかで、音の一つひとつが空気を伝わって拡散してゆく様子が身体で感じられる。新生くるりが真正面からロックとがっぷり四つに組んだ成果がこれなんだろう。反面、以前の素朴さや遊び心が失われつつあるのは少し残念だが、今のバンドのスタンスではそれも致し方ないのかもしれない。7曲目のこの幻想的なスローナンバーでは、新加入のクリストファー・マグワイヤの弾き出すグルーヴィで正確なドラミングが心地良い浮遊感を生み出している。彼の存在は、予想以上にバンドサウンドの骨格を大きく変えたようだ。この曲も含め、ちょっと中、後期のツェッペリンをも想わせる雰囲気を持ったアルバムである。付録のおみくじは半吉だった。蛇足だが、オーディオとしての音も凄くよい。