ホラーか否か

密室と化したエレベーターの中では大量の血しぶきと共に殺戮シーンが繰り広げられ、それがこの作品の大きなインパクトにもなっているが、決してグロいだけのホラー映画とは違う。オープニングのCGを含め、随所で散りばめられてるスタイリッシュでスピード感溢れる映像や音楽を体験してもらえばそれがわかるはずだ。


ただ、個人的な趣味で言わしてもらえば、バイオレンス表現に関してはストレート過ぎて、やや単調にも感じられた(もちろん、この手の映画に慣れてない人には充分過ぎるほどショッキングだと思う)。監督の好みや制作費の問題(これは大きいはず)もあるだろうが、それなら暴力シーンを直接的に見せるのではなく例えば同じく低予算で製作の『サイコ』のような間接的な表現方法を使ったり、無音ではなくバックにクラシックなどの音楽を流して画面をスロー再生させたりするなど、何かしらヒネリを加えても面白いと思うんだが。
多くのホラー映画がそうであるように、過剰な暴力描写は、(ある種のカタルシスは得られるが)どこか滑稽さと背中合わせになってしまう危険性がある。血がドバドバと流れるシーンが続くより、実際には刃物による一閃のほうが恐怖は上だったりする。
もちろんそういった類いのモノとは一線を画した作品だし、監督自身もバイオレンスの表現方法には強い拘りを持っていそうなので、このあたりに関しては、これから先の作品で大いに期待しよう。