ロン・セクスミス [amazon] US JP(CCCD)

『Retriever / Ron Sexsmith
今年の4月にリリースされた最新作6thで、今回のライブもこのアルバムを中心に行われた(なぜか7曲目の「Wishing Wells」だけやらなかったが)。録音はロンドン、ゲストにエド・ハーコートやTravisのニールなどを迎えて前作同様マーティン・テレフェのプロデュースだが、5thでの打ち込みを多用した音作り、さらには4th(こちらのプロデュースはスティーヴ・アール)で顕著だったロック色の強いアレンジに比べるとかなりシンプルで、雰囲気的には初期の作品に近いかなと思う。最初に聴いた時はさほど強い印象は残らなかったが、回数を重ねるごとにじんわりと沁み込んでくる。何度聴いても新鮮さを失わない。そんなアルバムです。一つひとつの楽器の音が明確でリズムの強さも感じるのだが、それらはごく自然にロンの歌声と溶け合っている。ピアノが美しい4、アコギの響きが切ない6など心にやさしく訴えかけるバラードはここでも素晴らしい。ライブでもそうだったが自分としては流麗なストリングスとグルーヴィなサウンド、それと切なくも心地良いロンのヴォーカルが見事にマッチした8が大好き。

Secret Heart

Retriever / Ron Sexsmith

木曜に渋谷クアトロで観たロン・セクスミスのライブは本当に素晴らしかったです。決して派手さはないけど、泣きたくなるほど美しいメロディと、愁いを帯びた誠実でやさしい歌声。2日経った今でもその余韻がはっきりと残っており、何度も彼のアルバムを聴き返しています。


ライブのほうは、まずギターのティムが前座として4曲を披露。グラム・パーソンズが在籍したフライング・ブリトウ・ブラザーズの名バラード「Hot Burrito No.1」を歌うなど、ゴツイ外見からは想像できない甘い歌声を聴かせてくれました。
そのティムから名前を呼ばれてロンと他のメンバー(ベースのジェイソン&ドラムのドン)がステージへ登場。間近で見るロンは結構大柄で、顔のポッチャリ加減に比べると手足も細くて、身体のほうは思ってたよりも締まってましたね。意外でした。


「Former Glory」から始まったステージは、最新作『Retriever』を中心に、過去5枚のアルバムからも満遍なく選曲されてました(前日の大阪とは曲順を含め、かなり違ってるようですが)。
「Secret Heart」「Gold In Them Hills」「Strawberry Blonde」などの人気の高い曲にはさすがに歓声も大きく、他にもブッシュ大統領に捧げると言って笑いを誘った「The Idiot Boy」や、キンクスの「Two Sisters」、ビートルズ「Blackbird」などのカヴァー曲もやってくれました。個人的には3曲目に歌った「Whatever It Takes」でのゆったりとしたグルーヴ感が、自然に身体を横に揺すってしまうほど心地良くて最高でした。
この他にも「In A Flash」ではドンの奏でるチェロがしっとりと曲を彩ったり、さらにアンコールの「These Days」での巧みでちょっと微笑ましいコーラスなど息の合ったバンドのサポートが、ロンの歌をより素敵なものにしてました。右足に重心を置いて左足のつま先をちょこんと立てる独特のスタイルで弾く彼自身の優雅なギタープレイ(すべてフィンガーピッキング)も印象的で、「Secret Heart」でのテレキャスの繊細で柔らかい音色には男の私でもウットリとしてしまいました(笑)。
2度に渡るアンコールの最後の曲は観客のリクエストに応えて「April After All」を。30曲近くを歌った2時間に及ぶライブでした。


ロンのライブはこの日が初めてでしたが、生で聴く彼の歌にはホントに感動。会場に集まったファンの人たちの親密で暖かい雰囲気も良かった。今回の来日で初めてロンのことを知ったウチの娘もステージ前の柵に挟まりながら食い入るように観てまして(笑)、かなり楽しんだようです。ロンさん、来年もまた来てね。

クロスウインド

『CROSSWIND』
RCサクセションにも在籍していたギタリスト、小川銀次が率いたクロスオーヴァー/フュージョン・バンドの78年にリリースされたデビュー作。アナログの帯には「下北沢音楽賞受賞」の文字が躍っていた。ハードロック寄りのエモーショナルなギターと、聴き手の想像力を掻き立てるファンタジックなサウンドが融合した斬新な音作りで、同時代のプリズムやスペースサーカスなどと共に強く印象に残っている。初期のアル・ディメオラのようなアグレッシブな速弾きのA-1「蟻の大移動」、静から動へと劇的に展開するA-3「流氷」(この曲はプリズムの「Love Me」にも匹敵する官能的なギターが堪能できる名曲)など聴き所も多く、当時のハード系フュージョン・ファン、ギター小僧には忘れられない1枚。A-2「猫と小鳥の不思議な旅」、B-2「だんだ畑で鬼ごっこ」といった絵本のような個性的なタイトルも面白かった。あの頃1メートルぐらいの至近距離で観た強烈なライブは今も鮮烈な記憶だ。この後、ジャズ、プログレなどの要素を取り入れたアルバム(計4枚)を残してバンドは消滅。熱狂的なファンも多いリーダーの小川銀次は、2001年にはCD12枚に及ぶソロアルバム『Private Diary』を発表するなど現在も活躍中。

ピアノガール

日曜日の夕方、星村麻衣の「PIANO GANG STA☆vol.8@HARAJUKU GIGZOO」に行ってきた。彼女のライブを観るのは初めて。会場のキャパは350人らしいが(@ぴあ参照)、この日は横のスペースを仕切ってフロアにイスが並べられていた。観客は120〜30人ってとこだろう。
6列目中央に座ったのだが席の配置が詰まっているため、しゃがんでしまうと低いステージは上の部分しか見えない。さらにアコースティックセット(ピアノ&ヴォーカル(星村麻衣)、ギター、ベース、パーカッション)で座ったままのプレイがメインだから、見えるのは上半身ぐらいで肝心の楽器をプレイしている様子がまったくわからん。小さいハコで間近で観てるのに、これでは意味がない。最初はイスに座れてラクチンと思ったが、少なくとも自分としてはいつも観てるようなスタンディング形式のほうが楽しめる。なんとなくテンションも下がるし。


なのであまり印象に残らないライブだったけど、箇条書きにするとこんな感じ。

  1. 実際に見る彼女はチャーミングな普通の23歳の女の子。でも目付きは鋭い。
  2. よく喋る。ちょっと天然ボケのキャラだったのは意外だった。
  3. それほどピアノにスポットが当たるというわけではなく、あくまでヴォーカル中心の構成。
  4. 1人で来てる男性ファンが多い。ガンズやハロウィンのTシャツ(しかも古いの)着てるのもいて、ファン層がよくわからなかった
  5. 観客はとくかく大人しい。ライブというより試聴会のような雰囲気。
  6. だけどイタイ客もいて、周りはみんなひいていた。


彼女が敬愛するベン・フォールズのようにガンガンにピアノを弾きまくるようなプレイを期待してたのだけど、この日は違ったようだ。あと、これはステージの大きさも関係してるのかもしれないが、ピアノの鍵盤が完全にステージ側を向いており、そのために指先がまったく見えなかったのも残念だった。一応プロジェクターを使ってステージ中央のスクリーンに時々映されてたが、やはりそれでは満足できない。だって(自分としては)ピアノを弾く姿を観に来たのだから。
しっとりとしたアコースティックセットももちろんいいが、バンドをバックにスタンディングで鍵盤を叩く彼女の“ピアノロック”のステージを一度体験したいなぁ。

たかがITが

『CROSSWIND』

27日の日テレ氏家会長、記者会見での発言より(ソースはMainichi INTERACTIVE)

日本テレビ氏家斉一郎会長(読売巨人軍相談役)は27日の定例記者会見で、プロ野球再編について「プロ野球経営は厳しい。今、うわさになっているような会社さんの売り上げは年間百何十億。40億もの赤字をかぶれるかどうか、研究はしておかなければいけない」と話し、「たかがと言ったら怒られるが、IT(情報技術)の革命児という認識しかなかった」と、暗にライブドアの参入に難色を示した。堀江貴文社長の「3年で黒字にする」との見通しについても「今までの常識で考えると難しいと思う」と否定的な見方を示した。


ナベツネ発言であれほど問題になったのにまだ言うかね。こりゃもうグループの体質としか思えん。そんな(ほんの一部を除き)赤字だらけのプロ野球界にしたのは一体誰の責任なのか?ウソでもいいから「先端産業の一翼を担う企業として、その蓄積したノウハウ活かし、新しい時代のプロ野球システムを構築して欲しい。我々もそのための助言や協力は惜しまないつもりだ」ぐらいのことを言ってくれればいいのに。そしたら愛想尽かして離れてしまった巨人ファンも少しは戻って来て、巨人戦の視聴率が5%ぐらい回復するかも。もう無理か。


それから、ライブドア楽天の両方からラブコールを受ける形になった宮城県の浅野知事の煮え切らない態度も気にかかる。立場上しんどいのはわかるけど、地元の意見はりっぱな判断基準になると思うのだが(サンプルの少なさやEメールの信憑性などはまた別の問題として)。
堀江社長の『朴訥(ぼくとつ)』としたしゃべり方が東北人には受ける。三木谷社長は理知的だが冷たい感じがする」という県幹部の発言にはちょっと笑った。


[参考リンク]

●球界再編:日テレの氏家会長 ライブドア参入に難色示す(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

●【プロ野球】日本テレビ氏家会長、計画の甘さ指摘−新規参入で(SANSPO.COM)

●日テレ会長、ライブドアの参入に否定的(asahi.com)

●【プロ野球】宮城県HPではライブドア支持85%(SANSPO.COM)

●ライブドア支持変わらず 宮城県の「知事への手紙」(Sankei Web)

●宮城県民、ライブドア支持9割 知事「判断基準にならず」(asahi.com)

●三木谷社長「宮城に大リーグ呼びたい」(スポニチアネックス)